川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

英語の音質で話す練習 第5週目 美しく共鳴させる位置

鼻腔への共鳴を練習する方へ

鼻腔は喉の上の位置にあります。 この練習は上に響かせる練習です。 したがって、故意に喉で声を低くしてしゃべっているとこの練習は出来ません。 普通のしゃべり方で練習してください。 生徒さんから声の高低についてご質問が出ましたので(10月16日のブログを参照してください)お伝えいたします。 (喉を開ける練習は発声練習や「ロンリータイガーの練習」で、別に行います。ただ、それをしなくても沢さんは川合メソッド2の練習だけで、こういう英語の音質に変わりました。(出典 オー・ヘンリー「最後の一葉」) 鼻腔への共鳴ができましたので声の響く空間が変わりました。)





先週のブログを読んでくださった方は * * * で区切りました部分は、飛ばして太字で書いてあります「それでは今日の練習を始めます。」というところからお読みください。

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川合メソッド2第二部「英語の音質で話す練習」の中で私が説明する発声の仕方は、今から25年前、私がシカゴの病院で、受付のアメリカ人の質問に答えていた時、そのアメリカ人と同じ音質になるように、ひとりでに、私の口の中が変わって行った時に、身に着いた発音の仕方です。  

この経験については、著書「英語発音、日本人でもここまでできます。」17ページ「突然身に着いたネイティブ発音」の項目に詳しく書いてあります。  

私は、意図的に、ネイティブと似るように、自分で考えて口の形を変えたわけではありません。  受付のアメリカ人の質問に答えていくうちに、彼女と同じ音質になるように、ひとりでに口や鼻腔の中が変わって行ったのです。  私が35歳の時でした。  (臨界期仮説から言うとありえませんね。)

私は「耳が聞いた音と同じ音質を出そうとして私の口や鼻腔の形を変えた」と思っています。  (この時の耳の力については、2011年7月8日のブログ「機会に発音の判定をさせるということ」をごらんください。)  

その後、発音練習をしながら、「もう少し明るい音質がいい」とか「もう少し、後ろの方に共鳴させた方がいい」とか、音質の好みで、いろいろ共鳴の位置を変える努力をしましたが、基本的にこの口や鼻腔の形は、あの時シカゴの病院の受付で、アメリカ人と話していた時にひとりでに身に着いたものです。

その発声の仕方が、私が長くやってきた声楽の発声の仕方と同じ点が多かったので、私は著書「英語発音、日本人でもここまでできます。」の中で、そのやり方を説明しました。

その本を出版する前、2003年から2008年まで、私は、「声楽の発声法と英語の発声法に類似点がある」ということをネット上のあるサイトの掲示板に書き込んでいました。 (そのことは去年ブログに書いたとおりです) 

「発声法と英語とどんな関係があるの?」というのが当時の風潮で、私が2003年に一番最初にネット上の掲示板にそのことを書いたときは「発声法なんて関係ありませんよ」という反論が一番最初に寄せられたことを今でもよく覚えています。  今は、時代が変わりましたね。

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それでは今日の練習を始めます。


今日は美しく鼻腔に響く位置についてお話をいたします。

眼鏡を思い浮かべてください。

眼鏡の右のレンズと左のレンズをつないでいる細い部分があります。  眼鏡をかけると、その細い部分は鼻の上にかかります。

その細い部分からだいたい2センチくらい下の鼻の位置に声を充てるように発音していくときれいに響きます。(十分な空間をとっていないと響きません)

下の音声は、私のNの例文の音声ですが、空間を作ったら、その部分に声を当てています。

音声はこちらです。 
[file:creato-k:LS106167.MP3:sound]


次の3つの音声は沢さんの発音です。  3つともその部分に声が当たっています。  ただ、まだ少し、空間が狭いので、こもったような音がする部分があります。

練習62日目の発音(1)  音声はこちらです。  
[file:creato-k:160524_0948.MP3:sound]

練習63日目の発音(2)  音声はこちらです。  
[file:creato-k:160525_0990.MP3:sound]

練習63日目の発音(3)  音声はこちらです。  
[file:creato-k:160525_0998.MP3:sound]




練習62日目(1)の発音の前半は響いていますが、「後半の部分」はかぶせたようなこもった音がします。  人によってはこういう音を英語らしい、という人もいますが、こういう音は遠くまで届きません。  

私たち家族がニュージャージーに住んでいたころ、家の修理に来てくれた大柄なおじさんは、確かにかぶせたようなこもった音質で話す人でした。  けれどもその声はとても強く大きく、胸の周りまで振動しているのではないかと思うような声でした。 

かぶせたようなこもった音質でも、そのくらい強く大きく聞こえればよいですが、(1)の発音の「後半の部分」の声はそういう強さや大きさはありません。

ここではマイクを使って録音しましたから(1)の後半の声もある程度の大きさを持って聞こえますが、響きの音の大きさを聞いてみてください。  沢さんの62日目(1)の発音の前半は響いていますが、「後半の発音」を私と比べると、響きの大きさ、響きの広がりが違うのがわかると思います。  

響くためには空間を大きくとり、その大きな空間に当てる為、息もかなり強くする必要があります、  小さな空間で、かぶせたようにこもった低い音ですと相手に届きにくくなります。  ざわざわしたところだと聞き返されてしまいます。 

それで私は、最初の週から「空間を大きくとってください」と繰り返し皆さんにお願いしてきました。  第一部の練習から簡略腹式呼吸の練習も入れてきました。

私は音質の指導をするときに、「ネイティブっぽく聞こえる」ということを目標に指導することはありません。  次の3つを目標にしています。

1.鼻腔に共鳴させること
2.空間を大きく、高くとること。  その大きな空間に当てられるだけのたくさんの息が使えること。
3.美しく共鳴するポイントにあたっていること

この3つを習得していただくことを目標にしています。
舌の付け根を下げることは、DVDの中で「Lonely Tiger」の練習としてやっていただいています。  ただ、それだけでは大きな声にはなりません。

オペラの指導をするバーバラ・ボニーさんが2011年NHKの「スーパーオペラレッスン」という番組で、「喉頭(こうとう)を押し下げると内側で声を大きく響かせられるような気がしますが、外側で大きく響くわけではありません。」とおっしゃっていました。(その時のテキスト、「NHKスーパーオペラレッスン バーバラ・ボニーに学ぶ歌の心」27ページにもそのように記載されています。 その時のレッスンはプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」から「私の名はミミ Mi chiamano Mimi」と「あなたの愛の呼ぶ声に Donde lieta」でした。  私もこの2曲は萩原先生のレッスンで歌っていましたので、とても興味深く見ていました。



私は小柄なので眼鏡の細い部分から2センチメートルくらい下に声を当てていますが、大柄な方は3センチメートルくらい下かもしれませんね。

そのあたりの固いところに声を当てていくときれいに響きます。

私のところにお問い合わせをくださった方の中に、「軟口蓋を上げながら、文の最初の方は発音できますけれど、それを維持できません」とメールをくださった方がいらっしゃいました。  確かに今まで上げたことのないところを上げて保持しながらしゃべるのは大変だと思います。

そういう時は、少しずつ上げていられる時間を伸ばして、まず、一つの文を最初から最後まで、軟口蓋を上げてしゃべれることを目標に練習をしていかれるとよいと思います。

もし発声練習ができる環境でしたら、発声練習をしていただくと、軟口蓋を上げてしゃべることも、少し楽になると思います。  ただ、現実には、住宅事情や帰宅時間の関係で、発声練習は難しいと思いますので、音読の練習の時、少しずつ、軟口蓋を上げていられる時間を伸ばしていかれるのがいいと思います。

声楽の練習をしていると、「鼻腔は魔法の場所みたいだなあ」と思うことがよくあります。  鼻腔に響かせると、音がきれいに響きますし、音が強くなります。(このためには、息もたくさん送れるようにします)  音程も安定します。 

英語の発声と声楽の発声は、最後に声が抜けるところが違いますが、鼻腔に響かせることは同じですから、この「魔法の場所」を英語を話す時も大いに活用してください。  私はDVDでは英語の発声の仕方で、発声練習をしていますので、そのまま真似していただいて、大丈夫です。  

きれいな音は、聞く人にとっても聞きやすいと思いますので、今日ご説明いたしました位置に声を当ててみてください。

今日聞いていただいた沢さんの発音は練習開始から62日目です。  皆さんは今、4週目に入ったばかりですから、まだそこまで空間が開いていないかもしれませんので、無理をしないで、少しずつやってください。  

最近はとても寒くなりましたので、部屋を暖かくして、加湿器やお湯などわかして、適度な湿度を保った部屋で、練習してください。  沢さんや相田さんのようにお風呂で練習するのもよいかもしれません。
発声器官を傷めないように練習をしてください。 

===川合メソッド2第二部英語の音質で話す練習===

10月30日から11月5日までの練習

Where are you? の練習を2回した後、自分の発音を録音し、見本と比べて音質を似せていく。
(自分の鼻腔、口腔内部を傷めないように注意して行う。  違和感があったら、
直ちに練習を中止する)

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川合メソッド2を営利目的に使用することはご遠慮ください。
特に出版社、発音を教える人、発音を教える講座、セミナーなどによる無断使用は固くお断りいたします。
皆様にそのようなお願いをする理由はこちらで、ご覧いただけます。

学習者どうしの情報交換は歓迎します。  どんどん行ってください。


発声に関しては日本語と同じ狭い口の空間で、日本語と同じ小さい息の量で声だけ低くすると非常に聞きにくい英語になります。 少しざわざわしているところでは聞き返されてしまいます。
一方、鼻腔も含めた大きな空間にたくさんの息を使って声を共鳴させるとこういう発音になります。(川合典子HP(Wの練習「音声を聞く」)より) 川合メソッド2ではこちらを目指します。

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ここで、英語の発声とオペラを歌うときの発声の違いを大まかに説明しておきます。
鼻腔への共鳴があることは2つとも同じなのですが、そのあとの処理が違います。
感覚的に言うと英語は「ふたをした感じ」だからオペラの発声に比べると少しこもった感じがします。
オペラの発声は、「どこにもふたはしない」「頭まで抜ける」「頭まで全開する」「鼻の骨、頭蓋骨までビンビン響かすようなつもりで当てる」感じで発声します。(これは特に高い音の場合。低い音の場合は頭蓋骨までビンビン当てるという感覚はありません。)私はDVDのニアニアの発声練習は「英語の発声」で行っていますので、そのまま真似していただいて大丈夫です。



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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





*今日初めて川合典子のブログを読んでくださった方へ*

英語の子音には長さがあります。(日本人が70年聞き取れなかった長さです)  「L」の長さは2016年9月1日のブログを読むとマライア・キャリーさんが発音しているLの長さが聞き取れます。

Sの発音は2012年2月21日のブログを読んでいただくとメリル・ストリープさんが発音するSの長さが聞き取れます。

発音練習は演説でなく普通の会話文で行います。  ナチュラルスピードで日本語化しない子音で話す練習は演説ではできません。  日本人が昔から好んでやってきた練習ばかりしていると、日本人の英語を長い間、通じなくさせてきた問題点を克服することができません。


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「中学、高校の英語の授業を英語で行う」という誤った学校教育(英語教育)の方針から子供達を守る為、当分の間、下記の文を掲載させていただきます。

文部科学省は高校の英語の授業を英語で行う方針をやめてください。

理由1)  効果を実証する事実、事例が一つもない。  
理由2)  一部の業者の利益を優先し、公共の利益(高校生の英語力向上)にまったく役に立たない。 

「Freedom を日本語に訳すとニュアンスがわからないから生徒には英語のまま Freedom Freedom と言わせる」こんな方法は、「OOを信じれば病気が治る」という詐欺商法と同じで、まったく効果はありません。   文部科学省はこういう方法を学校教育に持ち込むのはやめてください。  国家公務員法に違反しています。 


中学、高校の正しい英語教育の方法はこちらです。

理由1) については「英語で考える本」松本亨 英友社 67ページに、一番最初の提唱者もこの方法で英語を習得していない、と書いてあります。
理由2)については2016年10月16日のブログの最後の部分をお読みください。



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高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。