川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

生徒には発音を聞いて直す力がある。

初心者の生徒さんの最初のレッスンのとき、次のレッスンまでの課題を出して私はこんな風に説明します。

「ここに書いてある英文を発音練習して、お手本と比べて自分で直してきてくださいね。 次回のレッスンで私はOOさんの発音を聞いて、お手本と違っているところをお教えします。 けれども、家で練習するときは、あとで先生が直してくれる、とは思わないで下さいね。

自分が直さなかったら、誰も発音を直してくれる人はいない、自分で直すのが、最終チェックなのだ、と思って、練習して来てください。 そうすると、「あとで先生が直してくれる」と思って勉強するのとは比べ物にならないくらい発音が上手になります。 聞く力も、違いを認識する力も、どうしたら同じ音が出るか考える力も格段に進歩します。」と言います。

生徒さんはとても素直ですから、本当にそう思って、練習してきます。 だから、2、3回レッスンを受けるととても上手になります。私が直すところがわかってくるので、そこを家で自分で直してくるのです。 この最初の2,3回のレッスンで私が指摘することはほとんど2冊目の本「続・英語発音、日本人でもここまで出来ます。」に書いてあります。


私は、「あなたには発音は直せませんから、私が直します。」と言う教え方が好きではありません。 私は生徒さんに「OOさんの中には、音を聞く力も、音を似せていくにはどうしたらよいか考える力もあります。 その力を育てていきましょうね。そうすると、先生がいなくても自分でどんどん発音を良くしていけるんですよ」と言います。

すると生徒さんは本当にそう信じるようです。 ニューヨークでアメリカ人からもきれいな発音だと言われた生徒さんの話をしました。http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130109 彼女はレッスンが終了したあとも一人で勉強を続けていたんですね。

「自分で発音は変えられる」私は生徒さんにそう思ってほしいのです。 本当にそうだからです。 「自分に何かを変える力がある」こう思えると、人は生き生きとするんですね。  

「あなたには直せないから、私が直します」こういう言葉は、生徒の能力の伸びを止めてしまいます。 
 
「音を似せていく能力」は「指示されたとおり言うこと」とは異質の能力です。

私が発音練習が楽しかったのは、毎日じっと音を聞いていると、昨日は聞こえなったことが今日は聞こえた、と言う日があるからでした。 そうすると、昨日までは分からなかった、舌がどうやって動いているかが自分でわかるようになるからでした。 真似してやってみて、最初はうまく出来なくても、滑らかに出来る日がくるからでした。  

自分の耳が聞こえるようになり、口の動きが分かるようになり、口が同じように動いてくる、以前は出来なかったことが出来るようになってくる経験は自分には発音を変える力があることを実感させてくれる面白い経験でした。  


私は発音を学ぶ人、誰にでも、「自分の発音を変える力がある」と思っています。

私は発音を習得するのは、あくまでも生徒さん自身の力だと思っています。 もし、発音を習得するのを自分の身の丈ほどもある大きな車輪を回して目的地まで運ぶことだとしたら、車輪を回していくのは生徒さん自身です。

私は横から手を添えるだけです。 私のアドバイスを聞いて何かを理解した生徒さんは自分で自分の発音を良くしていくのです。 音を似せていく力はその人が「実際に自分で音を似せていく作業をする」ことによってしか育たないのです。 だから私は生徒さんに実際にその過程を行ってもらいます。  

出てきた結果は、「今練習している英文を正しい発音で言う」と言う同じ結果かもしれませんけれど、先生の指示する通りに言って出来たのと、自分で聞いて、音を似せていく努力をして言えるようになったのでは、その過程で訓練する能力がまったく違います。  http://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130317

「自分には発音を変える力がある」、そう思ったとき、生徒さんの中に今までなかった意識が生まれます。 その意識が生まれると、その人がもっている能力が活動を始めます。

そういう生徒さんが、自分で自分の発音を直していく練習を始めたら、教える私は「アドバイス」で手を添えるだけです。 生徒さんは自分の力で車輪を回していきます。 生徒さんは自分にはそれをするだけの力があると思っています。 皆さんにもあります。 そして私は、自分のレッスンでしているアドバイスを公開することによって、皆さんの回している車輪にも手を添えてヘルプすることができると思っています。

皆さんには発音を変える力があります。 その資質も能力もあります。 今まで、それを訓練する方法を知らなかっただけです。  何かを学ぶということは、学ぶ前と学んだ後で、自分の中の能力が変わるということです。 育てた能力は自分の財産になります。 学習者自身の利益になります。

ぜひ、自分の発音能力を育ててください。  勉強の主体は自分です。



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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。