昨日「初級、中級の方は母国語の力を借りて英語をよく分かる言語にしていくことが英語学習です」と書きました。
英語をよく理解するためには最初は母国語の助けを借ります。
わからない単語は英和辞典で調べます。
文章は文法にのっとって、正しく意味を取ります。
英語で言われていることを理解するにはこの段階では、よく知っている母国語に訳して理解していくことになります。
それが終わったら、音読をします。
スラスラ読めるようになるまで音読をします。
スラスラ読めるようになったら、スラスラ読める状態が定着するまで音読します。
そうすると、単語が並んでいる順番に意味が取れるようになります。
中級の方は次に少しスピードを上げて読めるように練習してください。 そうすると、だんだん日本語が入ってこなくなります。
この段階ではまだ、すべての日本語が消えて行くわけではありませんが、学習が進んで上級になった時、大量に英語を処理していきますからその時、日本語は全く出てこなくなります。 初級の方は無理してスピードを上げなくて結構です。 発音が乱れますから。 でも、スラスラ読めるようにはしてください。
こういう練習が面倒なので、単語も調べずにただ、テキストを英語で読んでいれば、いつかわかるようになる、と思いたいですが、初級中級ではそういうことは、ほとんどありませんでした。
私自身の経験では120語くらいの文章の中に5個くらいわからない単語がある場合は上級になると何度も読んでいるうちに、知らない単語の意味もわかってくるということは経験しましたが、初級中級の時にはむしろ、全部調べてきちんと意味のわかっているものをたくさん音読して、その単語の意味を音読しながら定着させたほうが、語彙を増やす意味では非常にうまいやり方だった、という記憶があります。 初級中級の方はそちらのほうがいいと思います。
こうやって勉強の仕方を書くと、昔のやり方のようで、みなさんはがっかり、なさると思います。 だから、初級者から英語で考えるという学習の仕方が魅力的に見えたのだと思います。
でも自分の子供がふたりともバイリンガルになっていく過程を観察した結果、最初はふたりとも日本語に訳して、英語を理解していきました。 まず、母国語で正確に英語を理解しなければ、英語学習は始まらないのです。
大量にインプットする段階になると、日本にいても応用出来る練習方法もみましたが、英語学習のスタート時にすることは、アメリカに行った帰国子女も日本で学ぶ英語学習者も同じでした。 まず、母国語の助けを借りて、正確に英語を理解します。
英語学習の本質は、わからない英語を分かる言葉に変えていくことです。 ですから、母国語の助けを借りて英語を正確に理解することはスキップできません。 スキップできないから、娘も息子も、宿題をやるのにあんなに時間がかかったわけです。(6月18日のブログ「化学のノート」をご覧になると、その様子がお分かりになると思います。)
子どもたちの場合はその後、学校で、しゃべるのも、読むのも、速くしなければならない状況に身をおくわけですが、日本で勉強する場合はそういう環境にはありませんので、音読でスピードを上げる練習に入っていきます。 日本語が出てこなくなるにはスピードを上げるのが一番いいです。 そうすると語順の通り意味を感じることも体に馴染んできます。
音読の練習までは学校の授業時間内にはできないでしょうから、家庭学習ですることになりますね。
語彙を蓄積し、正確に構文を押さえて英語を読む力を鍛えていくことが、初級、中級の学習者の英語学習です。 それを積み上げてから、大量の英語を処理していくと自動的に日本語が消えて英語で思うことが浮かんできます。 この時、自然に英語で考えられるようになります。
英語で考えるようになる過程は、私自身の体験(最初の本「英語発音、日本人でもここまでできます。」72ページに書いてあります)から言うと、日本語の言語体系とは別に英語の言語体系が頭にできていく過程のように思えます。 ほんの少ししか語彙がない、複雑な文は理解できない、初級の状態ではその言語による新しい言語体系などは構築できないでしょう。
こう書くと皆さんは道のりの長さに、うんざりすると思いますが、少しでも、この道程を短くするために、私は発音を習いにいらした方に、最初からネイティブの子供が読む英語の本を読んでもらっています。
理由は6月3日のブログ「なぜ、英語の本を飲むことが英語で考えることに効果があるのか。意味を成す英文を頭の中に構築する能力」に書いたように頭のなかに英文を構築する能力を育てるには、英書を読むことが自分の経験では最も近道だったからです。 なるべく、スムーズに自分の言いたいことが英語で浮かんでくる練習に入っていただきたいので、初級の時から本を読んでいただいています。
「言いたいことが自然に英語で浮かんでくる」多分これがある意味では英語学習の一つのゴールだと思います。 若いころ、私はどうしたらこの状態になれるのか、随分いろいろなことをやってみました。 でもなかなかできなくて、アメリカで眼科医から老眼鏡を勧められて、「読めるうちに沢山本を読もう」と夢中で英語の本を読んでいたら、言いたいことが自然に英語で浮かんでくる状態になりました。
私の体験は、皆さんの英語学習の時間を短縮するのに、役に立つと思います。
もし、面白くて夢中で読める本に巡りあうと、自分は一時間夢中で本を読んでいただけでも、頭のなかの活動は一時間ずっと英文を構築する力を訓練していたわけですから、すごい練習を行ったのと同じ事になります。
わくわくして本を読むというのは退屈に本を読むのの何十倍も英語が体に入ってきます。 今、私はThis Present Darkness という本を読んでいますが、最初の方はわかりにくくて、退屈で、読んでいても眠くなるようでしたけれど、300ページを過ぎたあたりから、とても面白くなってきて、夢中で読むようになりました。 そうしたら、最初の頃と英語の入り方が全然違っています。 皆さんも初級の時から夢中で読める本にめぐりあうと、自分の体に英語がよく入ってきます。
私は英語学習に魔法はないと思っていますが、我を忘れて夢中で読める本に出会うことは、自分の英語の世界が変わる大きなきっかけの一つだと思っています。 前出の本「英語発音、日本人でもここまで出来ます。」に、生徒さんが夢中で読んでくれた本のリストがありますので、参考になさってください。 自分は我を忘れてお話に没頭しているうちに、頭の中は、ずーと英語学習していてくれたら(こうなる理由は前出の2013年6月3日のブログ「なぜ、英語の本を読むことが英語で考えることに効果があるのか。意味を成す英文を頭の中に構築する能力」にかいてあります)とっても便利な学習法ですね。
同じように英文を勉強するのでも、深く内容に入っておくと、英語力は更に上ります。 具体的にはどうするのかというと、自分が勉強した英文(どんなに短いものでも結構です。)の要旨を誰かに聞かせるつもりで、英語で頭のなかでまとめてから喋ってみるんですね。 中級後半の方はやってみてください。
教材の英語を日本語に訳して理解するだけでなく理解したら、その内容で「思考しておく」わけです。 そうするとその英文が自分のものになってくるんですね。 もちろん日本語の助けを借りて作業して結構です。 新出単語の意味はまだ日本語の助けを借りなければしっくりわからないでしょうから。
もし英語でまとめるのが大変なら、最初は日本語でまとめても結構です。 私は大学の時にゼミでアメリカ社会について書かれた本を一章ずつ400字詰め原稿用紙1枚に日本語で要旨をまとめて提出するという課題を毎週やりましたが(2011年10月19日のブログ「速読の練習」に書きました)今でもあの作業は非常に自分の力になったと思っています。 日本語でまとめていても、日本語に対応する読んだ英文が頭に浮かびますので十分力になります。
読んだものについてこういう作業をすると、表面的に読むだけよりも2倍ぐらい英語力がつくという気がしました。
私は子どもたちの宿題で各教科、こういう作業ばっかりやっていましたので、特にそう感じました。
多分この作業をすると、今までやってきた英語学習では使わなかった頭の部分を使い始めるような感じを皆さんは持たれると思います。 この作業は頭のなかで英語を保持していなければできませんので、新しい能力を使うわけですね。 こうして少しずつ母国語と似たこともできるようになっていくわけですね。 そうすると英語力は上がります。
「しゃべること」というのは発音練習だけやっていては出来るようにならないのです。 今しゃべっている単語の次になんという単語を言えばいいのか、頭の中にでてこないとしゃべれませんね。 「自分は流暢にしゃべりたい」と思う方は、その点を考えてみてください。 今、自分の発音が完璧になったと仮定しましょう。 母音も子音も完璧に言えるようになった。
そういう日が来ても、やっぱり流暢にはしゃべれないのです。 自分のしゃべりたいことが英語で頭に浮かんでこない限り流暢にはしゃべれません。 発音練習だけがすべてを解決するわけではありません。 流暢にしゃべるためには何が必要か、それを自分で考えてみてください。
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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。
高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)
高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。 しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています) これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。 学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。
これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)
皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。 (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。
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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。 日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)
高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。
現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。
文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。 導入されれば教育現場は大変迷惑します。 中止する必要があります。 なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。
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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。
「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。 他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。
私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。
「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。 他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。 ベストセラーの著者という名声ですか。 それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。 この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか? もう英語教育とは関係ないことですか。 私はとても困っています。
私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。 日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。 ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。 私の仕事の妨害をしないでください。
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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。