川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

私が音について解説したことを取り入れることだけが、川合メソッドではありません。

私は最近ブログで、日本人の英語が通じない理由をお話していますが、これは皆さんが自分の発音と、お手本の発音を比べて直していく時に違いを認識する手がかりにしていただくために書いています。

自分の発音とお手本の発音を比べるのが、手間がかかるし大変だから、自分でやらないで、私の解説にあるポイントだけを自分の発音練習に取り入れても、川合メソッドの効果はありません。

「自分でお手本の発音と自分の発音を比べて違いを認識し、同じ発音になるにはどうしたら良いか考えて自分で直していく」と言う川合メソッドの訓練をなるべくやりやすくするためのヒントとして、書いているものです。  その訓練をしないで、私が解説したことだけ発音練習に取り入れても、川合メソッドが最終的に目指している能力(聞いた音と同じに発音する能力)を習得することは出来ません。

私が、川合メソッドを提唱するにあたり、最も大きな根拠になったのは、私が、シカゴの病院の受付で経験したことでした。  これについては最初の本の17ページに書いてあります。  そして、受付の看護婦さんの質問に英語で答えているうちに私自身何も意識していないのに、勝手に口の中の空間が変わって、英語の音質で話し始めたことが、どういう理由で引き起こされたのかを2冊めの本の19ページで、解説しました。

私はこの経験から、人間は聞いた音と同じに発音しようと訓練をしていけば、やがて、音を聞いてそれと同じように発音できる耳と口のつながりが出来あがると考えました。  (もちろん、英語の発音の仕方は今まで知らないことですので、最初は基本の音の発音の仕方を教えて貰う必要はあります。  私はこれを、DVDで皆さんの目で見ていただいています)  

また、萩原先生から、音楽大学に入学してきた学生が、「外からは見えない」軟口蓋を上げる発声法を先生の声を聞きながら練習するという指導法によって、出来るようになるというお話を聞いて、人間の体の中には耳で聞いた音と同じ音を口から出していく能力があると確信するようになりました。

英語をしゃべる時、単語と単語のつながり方は無数にあります。  これを「前の単語の子音と後ろの単語の母音がつながる」など、パターン化して教えられることもありますが、微妙な違いまで考えれば、単語がつながる時の音の変化は後ろに来る単語の数くらい無数にありますから教師が全部教えられるわけではありません。  また言いたい文章は無数の形がありますからそれら全部のリズムやイントネーションを全部教師が教えられるわけでもありません。

こういうものは、「自分の耳で聞いたことを口で再生する能力」を上級まで育てていって、無数にある単語の繋ぎ目の言い方やいろいろな文章でのリズムやイントネーションの言い方を耳で聞いていくうちに、自分の口で同じように言えるようになるものです。

つまり、自由自在に自分の言いたいことをネイティブと同じ発音で言いたかったら、いろいろなことをしゃべっているネイティブの発音を聞いて、聞いた発音と同じようにしゃべる能力を育てていくしか方法はないと私は考えています。

そのための方法として、川合メソッドを提唱したわけです。

皆さんは私のシカゴの病院の受付での経験を聞いても、聞いたとおりに口がしゃべろうとする能力などないというかもしれません。

私が3年前、川合メソッドは「自分で自分の発音をお手本と比べて直していく方法です」と言ったら、「自分で直すことなど出来ない、先生に直してもらうものだ」というのが、殆どの人の意見でした。

でも、あれから2年3ヶ月、多くの日本人特有の発音の仕方を解説して、「英語には日本語とは違う発音の仕方があるということを自分で聞いて知ってください」といった今、「生徒には音は聞けないから先生が聞いて直すものだ」という方は、ほとんどいらっしゃらなくなりました。

つまり、3年前は、「母国語と違う発音の仕方を持つ言語の世界がある」ということを知らなかったけれども、今は「母国語と違う発音の仕方を持つ言語の世界がある」ということを理解してくださったからだと思います。

「Lは舌先が歯茎から離れるときに音を出すのが日本語では当たり前の発音の仕方だけれど、英語では、舌先が歯茎に付いている時に音をだす」と日本語にはない言い方をする言語の存在を知ったからだと思います。

それと同じで、今は知らなくても「聞いたとおりにしゃべる能力を育てる方法」があるのです。  先生が必要事項を教えるだけの方法とは違う、音を聞いた人間が、その音と同じ音を出そうとしていく能力を自分のなかで育てていく発音習得の方法があるのです。

そういう発音習得方法があるとしても「自分は今までやったことがないから、自分には音は聞けない、直せない」と最初は思う方がいるかもしれませんが、これは実際に自分でやっていくことによって上手になります。

私は最初は声の大きさを比べることから始めて結構です、と言いました。  I like music. の最初のアイのアの音が、自分の発音は小さくありませんか?  そういうことから比べていけばいいのです。  そうやって、小さなことから少しずつ気づいていけばいいのです。  

初めてすることはやり方がわからないのが普通です。  私のところに初めて発音を習いに来た方に基本の発音の仕方を説明して、教科書を読んでいただいて、I’m from Canada  と言ったところで、「Fの摩擦を唇に感じましたか?」と聞いたら、「あっ、そういうことなんですね。」と発音練習とはどうやるものなのか、初めて気が付かれた方もいました。  それが普通ですね。  初めてのことはどうやったらいいのか、みんなわかりません。  だから、私は発音について解説したり、ブログにレッスンの体験を書いたりして、皆さんに参考にしていただいているのです。  

生徒さんは2,3回レッスンを受けると、私がどこを直すかわかってきますから、そこを自分で直してきます。  私が直すポイントは2冊めの本にまとめてありますので、参考になさってください。

またDVDで唇の動きや口の形を見て参考にすることも同じ音をどうやって出したらいいかを考える時の参考になさってください。 


ただ生徒さんは、「DVDを見ることは有効だと思います。  私は、先生の口の形、息づかいまで見逃さないように見ました。  目で見るのは確かに必要で有効だと思いました。  でも、自分が  問題意識を持って見ないと、ただ通りすぎてしまうと思います。  見るときに、 「どうしたら?」 「自分の問題点は?」 「手本との違いは?」等の意識を持って見る事がポイントだと思いました」と言っていました。

最初に見るときは、そういう問題意識を持つことがないのが普通だと思います。どういうふうに発音するのか知るために見るのですから、そういう問題意識がまだないのが普通だと思います。  けれども「自分の発音を録音して、お手本と比べて直す」と言う作業が始まった時、「どうしたら?」同じに聞こえるか、「自分の問題点は?」、「手本との違いは?」なにか、と言う意識が出てきます。  この意識を持って、DVDを見たり、発音を比べたりすることが、「聞いたとおりに発音する」耳と口のつながりを育てていきます。

自分がその意識を持った状態でお手本の音と自分の音を聞いて、似せていく、これをするのが川合メソッドで、この意識を持って音を聞くことこそが、最初は声が小さい、くらいしか気づかなかった方でも、だんだん、自分の子音は短いのではないか、と気づいていく能力を育てます。    

つまり、本人の意識活動のレベルが、そこまで行っていないと、DVDを見ても気づかない、発音を聞いても気づかない、と言う状態に留まるわけです。  この状態を突破して、今まで気が付かなかったことに気づくためには、お手本と自分の発音を比べる、という注意を集中してピンポイントで聞かなければ解決できない音の問題を解決しながら聞いていく訓練が必要なのです。


私が書いた日本人の発音が通じない理由を参考にしてくださるのは、構いませんが、言われたことを直すのが、川合メソッドなのではありません。


1.お手本の発音を聞く
2.お手本の発音と同じように発音して録音する。
3.2つを比べて、どこが違うか認識する
4.お手本と同じに聞こえるようにするにはどうしたらよいか考える
5.考えた方法で発音して録音してみる
3.4.5を繰り返す。

これが川合メソッドです。1.2.3.4.5の繰り返しは手間がかかりますが、1.2.3.4.5をやっているまさにそのときに、「聞いたとおりに発音する能力」は出来上がります。  

22日に続きます。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。