川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

卓球の試合を見て

皆さんのLの練習はいかがですか?  今日は練習18日目ですね。  「舌が歯茎に絡まるようなLになってきた」という方もいらっしゃると思います。  まだ、そうなってこない、という方も確実に舌の力は強くなってきていますから、もう少し練習を続けてくださいね。

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6月の初め、夫が卓球の世界選手権、男女混合ダブルの決勝を見ていました。  石川選手と吉村選手のペアが金メダルを取った試合です。  私はあまり、スポ―ツ番組は見ませんが、この時は横で一緒に見ました。

卓球はしたことはありませんが、テニスをちょっとやっていましたので、球に様々な回転を与えて、相手コートに落ちた後、予想もしない方向にバウンドさせる技は、すごいなと思いました。

おそらく卓球の選手は何千回何万回と球を打って練習しているので、「自分がどういう回転を与えると、球がどういうバウンドをするか」手に取るようにわかっているのでしょう。

卓球の場合、球が見えますから、自分の打ち方の結果をその場で見ることが出来ます。

これが発音だったら、音は見えませんから、自分が作った口の形からどういう音が出ていったのか、その結果を見ることはできません。 

こちらのブログ(発音習得の基本姿勢)に出てきた生徒さんは自分ではWを長く発音しているつもりだったけど録音して、聞いてみたらまだまだ短いと分かった、と言っていました。 

川合メソッド2の被験者になってくれた沢さんも、送られてきた彼女の発音を聞いて、私が、「例文1のFの摩擦は聞こえますけれど例文2のFの摩擦が聞こえません。  自分でも聞いてみてください。」と申し上げたら、自分で聞いて、確かに例文2のFの摩擦は聞こえない、と納得してくれました。

二人とも録音して聞いて初めて「自分の発音は相手に音の特徴を伝えられていなかった」と知ったわけです。

卓球に例えていうと、2人とも録音して聞いて初めて、「自分の球はネットにひっかかってしまい、相手コートに届かなかった」と知ったわけです。 

日本人の話す英語の場合、特に単語の最初の子音が短いですから、ネイティブのように長い子音を聞きなれている人には、短すぎて、なんの音だか、よく聞こえないうちに次の音に移動してしまっていることが多いです。

それで日本人の英語は分かりずらい、と言われます。

卓球の球で言えば、一応、ボールを打つには打っているのですが、ボールがネットに引っかかって、相手コートに届かなかった状態で、しゃべっているようなものです。

子音の長さは見えませんから、日本人はそのことに気づかず、70年もそういう短い子音で発音してきたわけです。  そして、残念なことに、いまでも、ネットに引っかかって相手の人に音の特徴が届いていない発音で練習し続けている方がたくさんいらっしゃいます。

書店に行けば、発音の仕方を説明した本やDVDはたくさんあります。  でもその多くは口の形を説明するにとどまり、日本人が通じる発音で話すためには子音の長さを保持しなければ伝わらない、と説明しているものはほとんどありません。  これこそが日本人の学習者に本当に必要な情報なのに、そのことを伝えているものは、ほとんどありません。  

ですから、その重要性を認識している発音教師は、何としても発音学習者に、子音の長さの違いを聞けるようになってもらおうと必死になるわけです。  なぜなら、この違いを学習者自身が聞けないと通じる発音で話せないからです。  この長さの違いはあまりにも微細で、他人が説明しただけでは、理解できないと知っているからです。

私が最初の本を出版したころは、「生徒自身が、音を聞いて直すなど無理だ。」、「先生が正しい発音を知っているのだから、直すのは先生だ」という意見が圧倒的に多かったですね。  そういう中で、私は、ずっと、学習する人に、「自分で音を聞いて下さい。」「お手本の発音と自分の発音のどこが違うのか自分の耳で聞いて下さい」と言い続けてきました。

一冊目の本「英語発音、日本人でもここまでできます。」(赤い本)の28ページには
英語の子音は長さも強さも日本語の子音より大きいのです。
日本語の子音は、母音へ行く途中にちょっと触れられるだけで、すぐに次の母音に移ってしまいます。

と、説明しました。

2冊目の「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」(緑の本)では、付属のCDで、生徒さんの短い子音(日本語の子音の言い方)と私の長さのある子音の違いを比較して載せましたが、あまりよくお分かりにならなかった方が多かったようでした。

私は2冊目の本を出版してしてしばらくして「自分は日本人が誰も聞けない音について本を書いたのだ」と知りました。  私は、「日本人の話す英語の最初の子音が短いことは、説明をすれば、わかっていただける」と思っていました。   でも、説明するだけでは分かっていただけない、ということをあの時知りました。

もし、日本人が音を見ることが出来たら、日本人の子音(単語の最初の子音)が短くて、卓球の球に例えれば、みんなネットに引っかかって、相手コートに届いていない、ということがわかるのに、と思いました。

では、学習者が音を「見る」方法はないのか? というと、「見る」方法はあります。  録音することです。

録音は面倒くさい、と思う方がいらっしゃるかもしれません。  面倒くさいことをしないで、通じる発音が身に着けられればそれが一番いいですが、この子音の長さの違いは学習者自身が自分で聞けないと直せないのです。  あまりにも微細な違いで他人に言われてもわからないのです。  自分で、「長さが違う」と聞けないと、直せないのです。



著書「英語発音、日本人でもここまでできます。」に書いてある練習方法は自分の発音を録音してお手本と比べて直していく方法です。(先回ご説明いたしました。川合メソッド1(One)です。)

こんな小さい違いを聞き分けて、直してどうするの?  面倒くさいだけじゃない。  英語の子音も日本語の子音もそんなに差はないじゃない、と思われるかもしれませんが、英語本来の長い子音を聞いて来た人たちには、日本人の短い子音で話された英語を聞き取るのは、とても大変なのです。  疲れてしまうのです。  

「こんな違いどっちだって同じじゃない」と思うのは、その人が日本人だからです。  短い子音を日常、聞きなれているからです。

私は13歳から発音練習を始めて、出産育児、転勤など、どうしても時間が取れない期間を除いて、ほぼ40年間ずーっと自分の発音を録音して、お手本と比べて直してきました。  その結果わかったのが、日本人の子音は短い、ということでした。こちらのブログこちらのブログ)

自分の発音を録音して直すなど、面倒くさいかもしれませんけど、70年間、間違った子音で発音練習を続けるよりいいと思います。  少し手間はかかりますが、8か月くらい、自分の発音を録音して、直していけば、英語本来の子音の長さで話せるようになります。  そのほうが、「発音練習に無駄に費やす時間がはるかに少なくて済むのではないでしょうか。

音が聞けない、という方は、先回もお話ししたように、一つの音にポイントを絞って聞くと聞けるようになります。  そのポイントは「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」という本(緑の本)に書いてあります。

これは、私が生徒さんにレッスンで実際に行ったアドバイスをそのまま載せてあります。  日本人の発音が通じなくなるところは、日本語の癖からくるものがほとんどですので、そこに書いてあることは日本人に共通する発音の問題点です。  ですから、そこに注意を絞って聞いていただけば、違いが聞けるようになります。

従来のように、子音の発音の仕方を説明して、「はい、ネイティブの後について言ってみましょう。」という練習では、ネイティブは英語の子音の長さでしゃべり、それを見ながら発音する日本人は日本語の子音の長さでしゃべる、という構図が繰り返されるだけです。  両者の発音の違いはいつまでたっても埋まりません。

シャドーイングで発音を練習する。  モデルは英語の子音でしゃべっていますが、シャドーイングしている日本人は短い日本語の子音のまま英語をしゃべっています。  何時間練習しても、両者の発音の違いは埋まりません。

どちらも、学習者は自分の発音を聞いていませんから、お手本と自分の発音は何が違うのか、気づかないままです。  これが70年間ずっと、日本人がやってきた発音練習です。


「自分は音が聞けないから」と長い間、録音することを避けてきたのなら、そこにこそ、日本人の発音を通じるようにするカギがあるのではないでしょうか。  やりにくいことを避けてこの先また80年90年と今までの通じない発音練習を繰り返すのは、学習する人の努力も時間も失うものが大きすぎると思います。


なぜ「川合メソッド」が自分の発音を録音してお手本と比べて直していくのか?  その目的は、「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」(緑の本)の第一章に書いてあります。

録音する目的は、卓球の練習と同じです。

卓球の選手は「自分がボールにどういう回転を与えたら、どういうバウンドをするか」それを見ながら練習します。  だから、「自分が球に与えた回転」と「ボールのバウンドの仕方」の相関関係が自分の体でわかるようになります。

川合メソッドも同じです。  自分の体をどうやって発音したらどういう音が出てくるか。  

そういう「自分が出す音」と「その時自分は体(口、唇、舌など)をどうやって発音しているか」この二つの関係を自分でつかむのが、録音する目的です。  いわば、見えない音を録音して可視化するわけです。 

この相関関係が分かってくると、通じる発音で話せます。ネイティブの発音を聞いたとき、あの音はこうすると出る、と自分の体でわかるからです。

録音して聞いて直していると「音をとらえる自分の能力」が上がり、同時に「とらえた音と同じ音で発音する能力」が上がるからです。

やり方は「英語発音、日本人でもここまでできます。」(赤い本)に書いてあります。  
聞き方は「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」(緑の本)に書いてあります。

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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)

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何度もお願いしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

また、KADOKAWA/アスキーメディアワークス(塚田正晃社長)は、隠ぺい工作までして、著者(松澤喜好氏)が自分のホームページで盗作を豪語するような悪質な出版はやめてください。(詳細はこちらです。)

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私のDVDで発音練習をするときは、耳に注意を集中して音を聞いて下さい。
最初はテキストを見ながら練習していただいて結構ですが、文字に気を取られていると、実際の音よりも自分がこうだと思っている音のまま発音していることが多くあります。

私はDVDの単語の発音の練習のところで、Life や Leg のLの音をほんの一瞬ですが、日本語化しない「長さのあるL」で発音しています。  そういう音をできるだけよく聞いて、同じように言ってください。

Fight や Fin の Fの音も長さをもって発音しています。  Way や Wet の W の音も長さを保持して発音しています。  それを耳でよく聞いて同じように言ってください。

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。