昨日は
「リズムやイントネーションは文全体を聞いて初めて把握できるものだ」
と説明いたしました。
音の強弱、緩急(リズム)、高低(イントネーション)は、すべて比較の問題なので、全体を聞いて初めて決まるものだとお話ししました。
これをわかりやすく説明したいと思います。
ある小学校の校庭の東の端A地点から西の端B地点まで、6年生の山田君に走ってもらいます。
山田君には「速く走っても遅く走ってもいいです。 好きなようにスピードを変えて走ってください。 途中で、円を描いても、ジグザグに走ってもいいです。 好きなように走ってください。」と言っておきます。
そして、皆さんには山田君が走ったのと同じように校庭を走っていただくと仮定します。
皆さんに山田君の動きを把握していただくため2台のビデオカメラで山田君の動きを撮影します。 カメラ1は、A地点からB地点まで、山田君の後ろをぴったりとついて撮影します。 カメラ2は、校舎の屋上に取り付けて、A地点からB地点まで山田君が動く範囲全体が常に画面に映るように固定しておきます。
「ヨーイ、スタート」で山田君に走ってもらいます。 山田君は円を描いたりジグザグに走ったり、速く走ったり、ゆっくり走ったりしながらA地点からB地点まで移動しました。
では、皆さんが「山田君の走り方を再現してください。」と言われた場合、皆さんは、ビデオカメラ1とビデオカメラ2のどちらの映像を参考にするでしょうか?
カメラ1は山田君の後ろをぴったりついて行って撮影した映像です。 何分後の映像を再生しても映っているのは山田君の背中だけです。 速く走っているのか遅く走っているのか、円を描いているのかジグザグに走っているのか、何にもわかりません。 どの時点を再生しても映っているのは山田君の背中だけです。
カメラ2は屋上に固定されて校庭全体を映していたカメラです。 山田君がどこで右に曲がったか、どこで速く走ったか、どこで円を描いたか、A地点からB地点までの動きが全部わかります。
山田君の動きを再現してくださいと言われた皆さんが、参考にするのはカメラ2の映像ですね。
リズムとイントネーションというのはこれと同じです。
音の強弱、緩急、高低は全体を聞いて初めて決まります。 把握できます。
シャドウイングはカメラ1のとらえ方と同じです。 集中して聞いているのは直前の音だけです。 直前の音だけをいつも追っています。 したがって、今自分が言っている単語が高いのか低いのかを明確に決定して、記憶する仕事は脳のどこでもやっていません。
「全体をシャドウイングしているのだから、感じでなんとなくわかる」と思う方もいるかも知れませんが、リズムとイントネーションというのは一番最後まで母国語の癖が残ります。 日本語が堪能な外国の方々でもリズムとイントネーションだけは母国語のパターンを残していらっしゃる方が多いのはそういう理由です。
一番変えるのが難しいリズムとイントネーションを「なんとなく全体を聞いている」から変えられるわけはありません。
シャドウイングをしているとき、音の強弱、緩急、高低を一つの文の最初から最後まで集中して記憶している脳の部分はありません。 脳が集中して聞いているのは直前の音だけです。
これではリズムやイントネーションは把握できないのです。
文の最初から最後まで、自分で聞いて同じように再生する練習をしなければリズムやイントネーションは身につかないのです。
今まで、シャドウイングはリズムやイントネーションの練習に有効だといわれてきました。 それは横で聞いている人にそう聞こえるだけです。 シャドウイングしている本人は、リズムもイントネーションも把握していません。 その時、その時、聞こえた音を繰り返しているだけです。
しかも、シャドウイングをしている時の発音を誰もチェックしません。 母音が短いとか子音が日本語化しているとか、何にも気づかずに、「聞こえたとおり本人が言っているつもり」なら練習は終わります。
私の常識ではお手本の音と自分の音を比べてチェックが入らない発音練習などあり得ないです。 それは発音練習とは言えません。
ひとつ文を聞いて、最初から最後まで、自分一人で、同じに言うほうがずっと大変です。 リズムやイントネーションはそういう練習をして、初めて身につくのです。
明日に続きます。
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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。
高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)
高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。 しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています) これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。 学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。
これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)
皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。 (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。
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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。 日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)
高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。
現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。
文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。 導入されれば教育現場は大変迷惑します。 中止する必要があります。 なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。
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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。
「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。 他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。
私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。
「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。 他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。 ベストセラーの著者という名声ですか。 それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。 この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか? もう英語教育とは関係ないことですか。 私はとても困っています。
私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。 日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。 ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。 私の仕事の妨害をしないでください。
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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。