川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

英語の早期教育が有効だと錯覚させる2つの誤解(その2)

先週は英語の早期教育が有効だと錯覚させる2つの誤解「その1」について説明致しました。今日は、誤解「その2」について説明いたします。

誤解2  ヨーロッパの英語教育に対する誤解

日本人が英語を話す場合、非常に難しいことが2つあります。

(困難その1)子音を単独で相手に聞こえるように発音することが難しい。

(困難その1の理由)   
日本語は常に子音と母音がセットになって言われるので、子音を単独で相手に聞こえるように発音できない。  

(困難その2)英語の語順で話すことが難しい。  

(困難その2の理由)    
日本語では動詞が最後に言われる。 否定の言葉も最後に言われる。  英語の語順とまったく違う。

ヨーロッパの言語は英語と同じグループに入る言語なので、ヨーロッパの言語(イタリア語、ドイツ語など)を母国語とする人々は母国語をしゃべっている段階で

1.子音を単独で相手に聞こえるように言うことができる                   

語順も英語とまったく同じではないが、似ているので、日本人ほどの困難を感じることなく

2. 英語の語順で話すことができる。

日本人が通じる英語を身に付けるために、最も苦労するこの2つの点(1.子音を単独で相手に聞こえるように言うこと。  2.英語の語順で話すこと)をヨーロッパの人々は母国語の段階で、おおかた、できています。  

ですからヨーロッパで英語の早期教育も成功するのでしょう。  

日本の英語教育の場合は、まず、日本人ができない「困難その1」、「困難その2」を解決しないと達成できません。    

この2つのことをきちんと解決する学習計画がないまま、自分のいいたいことを英語で言わせる教育をすると、学習者は、「子音が聞こえない英語」、「英語の語順ですらすら言えない(リズムが乱れる)英語」で話すことが常態となります。  そうすると、本来の英語とは全く違う発音やリズムで話すことになります。

私は以前、携帯電話について「ガラケー」という言葉の意味が分からなかったので家族に、聞いたことがあります。  それが「日本だけで特殊に進化したガラパゴス携帯(電話)」の意味だとわかった時、「日本だけで特殊に進化した発音とリズムで話す英語」はまさに「ガラパゴス英語」だと思いました。  日本国内だけで通じる英語です。

日本人が英語を身に付けるときに障害となる、この「2つの困難」をきちんと解決する学習計画がないまま、生徒に言いたいことを英語で話させていると、そのうち学校中が「ガラケー」ならぬ、「ガラ英」で話しだす事態になります。  「とにかく英語で話させれば問題は解決する」ということではないのです。  日本人の通じない英語を解決するには、学習者にきちんと教えなければならないことがあるのです。

大量の英語のインプットがない日本で、どうやってこの「2つの困難」を解決するか、この点に沿って、英語教育は考えていく必要があります。

先にも言いましたように、日本では、母国語並みの大量の英語のインプットがありませんから、小学生から英語の授業をしても子供はネイティブ並みの発音を習得することはありませんし、英語表現が自然に口から出てくることもありません。  小学校で英語を教えても、日本人の英語の問題は解決できないということです。   

日常的に大量の英語のインプットがあるアメリカやカナダの子供と、週に数時間(実質的に英語だけを聞く時間は週に何分もないでしょう)しか英語を聞かない日本の子供が同じことができるようになると思うのは大きな間違いです。 

これについては、2015年8月17日のブログ「なぜ日本人はヨーロッパの人々と同じ英語指導をしても効果がないのか」も参照してください。  私の体験に基づいて、この理由を説明しています。

来週に続きます。

極端な英語早期教育を行った際に子供が受けるダメージについては2011年10月17日のブログ「帰国子女の英語 帰国後の英語維持について」の一番最後に書きました「* * * 言語と文化 * * * 」のところをお読みください。  それがいかに危険をはらんだものかご理解いただけると思います。

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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)



高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。