川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

「口の形を習うこと」と「ネイティブのようにしゃべること」との間と埋める練習(完結編)

日本人の英語が通じなくなる「日本語の癖」が現れるのは、「文章」を英語で言うときなので、発音練習は「文章」で行ってください、と3回にわたってお話してきました。

5年前、私のところに発音を習いに来た人に「今から、日本語の癖について説明します」と言ったら、「日本語に癖なんかあるんですか?」と不思議そうな顔をしていました。

生まれてからずっとしゃべってきた母国語は、空気のように当たり前で、それに「癖」があるなど、考えもしないのがふつうなのですね。 

多分、今まで多くの人が「日本語に癖なんかあるんですか?」と私に聞いたこの生徒さんと同じ感覚を持っていらしたと思います。

日本に住んでいる限り、他の国の人も言葉を話す時はみんな自分と同じように、話していると当たり前に思っていらっしゃったと思います。(比較する対象が出現したとき、初めて「違い」の認識が生まれます)

だから今まで、日本語の癖などと言うことは言われてきませんでしたし、ほとんど研究もされてきませんでした。
 
私は2012年2月の発音のヒントでSは破裂音のように瞬間的に強くするのではなく、持続する音として強く発音してください、と解説しました。 今まで、皆さんにそういう指導をされた先生はほとんどいないと思います。

「日本人の英語を通じなくしている日本語の癖にほとんどの人が気づかなかった」 これが何十年も日本人の英語が通じないまま今日まで来てしまった原因だと思います。

皆さんは発音練習すると、「誰か通じるように直して」「誰か通じるように教えて」とよく思うと思います。

けれども、「今までこの日本人の英語を通じなくする日本語の癖に気づく人がいなかった」と言うことは、皆さんの発音を通じるように直してくれる「誰か」は、いないということなのです。 

日本語の癖については、おそらく研究もこれから始まる段階だと思います。 
日本語の癖に関しては、現時点では誰かを頼って解決してもらえる問題ではないのです。 

ですから、今発音を学ぶ人は、自分の耳でそれを聞いて解決してください。
日本語の癖が出ている自分の発音はモデルと比べてどこが違うのか聞いてください。 

英語を大変流暢にしゃべっている方でも、単語の最初の子音が日本語のようにちょっと触れるくらいにしか聞こえない方はたくさんいます。 留学していらした方でも、単語の最初の子音が聞きにくい英語でしゃべっている方はたくさんいます。 日本語ではそう発音しているのでその言い方が当たり前なのですね。 それほど母国語の言い方は私たちの体に染み付いているのですね。 これを直す方法はただ一つだけです。

自分の耳で、その子音の違いを実際に聞くことです。
本当に子音がなでるようにしか言われていない、と言う事実を自分の耳で聞いて、自覚することです。(これは速くしゃべったときに良く分かりますので上級の方は速くしゃべって録音して比べてみるといいです。)

その時が、発音のブレイクスルーの瞬間です。
きっと、このとき皆さんは、「違う! 本当に単語の最初の子音の言い方が違う!」とまるで、耳(?目)からうろこが落ちたような衝撃を受けると思います。 

自分の耳で、じっと音を聞いてきた人には必ずこの瞬間が訪れます。

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日本人にとって当たり前で気がつかなかった日本語の癖が、実は英語を通じなくしていた。
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このことに気づいたとき、皆さんの発音は変わります。

自分の発音を録音して、モデルと比べてこれに気づくことは、今まで皆さんがした事のない練習になると思います。 けれども、他に直せる人がいないので自分でやってください。

川合メソッドでは、単語3つくらいの短い文章からはじめますので、今まで文章の発音を比べて直すことをした事のない人でも、出来るようになっています。 私も、生徒さんの実例を皆さんに聞いていただいて、解説をし、皆さんの学習をサポートします。ですから、自分でおこなってください。

自分でやってみてわかったこと、と言うのはどんな小さなことでもとても貴重です。大事にしてください。 それがやがて、発音のブレイクスルーをもたらします。 ブレイクスルーは突然起こるようでいて、実は日々、improve している聞く力がある地点まで、来たときに、現象として引き起こされるだけなのです。

随分、昔になりますが、高校生のころ、私の家にはアジサイが植えてありました。 けれども、自分の家のアジサイが咲いたのを、私は見たことがありませんでした。 いつも大きな葉っぱしかないアジサイでした。 母は植木が好きでしたが、父はそれほど草木に興味があるわけではないようでした。 でも、庭の草取りをしたり、枝を刈ったりする外の仕事は父がやっていました。

アジサイが花を咲かせないで何年もたったとき、母が、「アジサイがだんだん大きくなって花を咲かせそうになると、お父さんが、刈り込んでしまうのよね。 そのあとまた、アジサイがだんだん大きくなって花が咲きそうになると、またお父さんが刈り込んじゃうのよね。。。。」と言いました。

「だんだん大きくなって」と言うときに母は両方の手の平を合わせてつぼみが膨らむようなしぐさをしながら言いました。

発音練習で、聞く練習を始めても、数週間やって、「やっぱり出来ない」とあきらめてしまう人を見ると、私はこのときのアジサイの話を思い出します。

その人の中に「聞いた音と同じ音で発音する能力」が少しずつ蓄えられて、もう少しで花が咲きそうなときに、練習をやめて、切り落としてしまうのです。外見は練習を始めたときと同じ「葉っぱばかりのアジサイ」でも、もう少し待ってあげれば、ちゃんと花をつけるところだったのです。 もうすぐ「聞いて同じに発音できる」ところだったのです。

練習をしていけば自分の中に力は着実に蓄えられていきます。 それは丁寧に練習して、静かに自分を見つめると、分かります。私にメールをくれた、アメリカで一人で発音練習している生徒さんが、「母音は〜〜で、子音は〜〜なんですね。」とメールを下さったとき、この人の中にも、少しずつその力がはぐくまれているのが分かりました。 注意深くしていると、ブレイクスルーが起こる前の自分の小さな変化は、分かります。 そういう意味でも、静かに自分で音と向かい合う時間を持ってください。小さな自分の耳の力の変化も感じられるようになります。

その後、母のこの言葉を聞いた父はアジサイをそのままにしておきました。それからしばらくたって、アジサイの花は咲きました。初めて自分の家で、アジサイの花が咲くのを見ました。

ちょっとやって出来ないからとすぐにあきらめないで、どんな小さな違いでもいいですから「OOが違う」と声に出して、言ってみてくださいね。そうすると「違いを認識する力」が、「漠然とどこか違うといっていたとき」とはまったく違う段階に入ります。違いを認識する力がそこから大きく育っていきます。

私も28日のブログhttp://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130128の冒頭に書きましたように、未知の仕事に毎日がんばっています。皆さんも、自分で音と向き合って、自分の発音能力を育ててくださいね。 完成度の高い発音はそうやって、自分で音と向かい合うことによって、自分の中に形成されます。

日本人の英語が通じるようになるかどうかは、皆さんお一人お一人が、自分で音と向き合って、自分の耳で聞き比べて直すという未知の練習に挑戦していくことが出来るかどうか、これにかかっていると思います。人間は自分の耳で聞かない音を発音することは出来ないのです。私も出来る限りのサポートをしますので、ぜひこの初めての練習に挑戦してください。

2013年1月24日のブログhttp://d.hatena.ne.jp/creato-k/20130124で、私の中学時代の先生の言葉を書きました。 幕末から明治の「開国」のときの日本では、困難に直面したとき、「どうしたら良いか教えて」「代わりにやって」と誰にも頼れず、自分の力で困難を切り抜けていくしかなかった人々が、日本を支えました。 

英語が通じないことによって、国益も大きく損なわれている現在、コミュニケーションにおける第二の開国を迫られているような状況です。この困難な状況を切り開いていく鍵を握るのは、他人に頼らず自分の力でコミュニケーションの能力(通じる発音)を身につけようとする方々の存在だと思っています。

私も全力でサポートいたしますので、ぜひ、自分の耳を使って発音を習得してください。 聞いたとおりの発音でしゃべれるようになります。




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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)





高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。