川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

雨だれで出来る石のくぼみ(2)

18日の続きです。 

8月1日、4日のブログで、日本人の英語が通じないのは、音声学の教科書に書いてある正しい子音の発音の仕方を知らないからではなく、学んだはずの英語の子音の言い方が本人も知らない間に日本語の子音の言い方にすり替わるからだと書きました。  

会話をしていて、発音に100%の注意が払えなくても子音がすり替わらずにしゃべれるようになるためには、必要な時だけガバっと練習するような勉強の仕方では身につかないんですね。  そういうやり方では、話す内容に注意が移ったとたん母国語の子音の言い方にすり替わってしまうのです。

「日本語の子音の言い方にすり替わらないように毎日意識して、少しずつ、繰り返し、練習して、1年2年と続ける」そういう勉強の仕方をすると無意識にしゃべっても、日本語の子音の言い方にすり替わらないでしゃべれるようになります。  発音に全神経を集中していなくても正しい発音でしゃべれるようになるには、時間をかけて、繰り返し直したいことを意識しながら体に覚え込ませる練習が、一番いいのですね。  発音の定着度と練習期間の長さ(「時間」の長さではなく「期間」の長さ)は切っても切れない関係にあります。

発音練習は無意識に発音しても正しく発音できるまで練習して完了します。

ニュージャージーから帰って英語を教えはじめた時、私はこのことをレッスンで利用しました。  基本の発音の注意点をレッスンの最初に復習しながら、1年でも2年でも言い続けるのもそのためですし、初心者には文章の中で、Fの発音の摩擦が私に聞こえるように言ってください、と初回のレッスンから毎回指導するのもそのためです。  

初級の生徒さんの場合は1年でも2年でも私は言い続けるわけですから最初のレッスンの時にきちんと説明しておきます。  「私は同じことを毎回言います。  これはOOさんの中で、Fと言えば、摩擦が聞こえるように、cut のアの音と言えば、鋭く暗く、と言う具合に、考えなくても発音できるようにするためです。  考えなくても、条件反射のようにさっとその言い方が出来るようにするためです。  もうわかっていると思わないで、さっとその音を出すように訓練してください」こういう風に説明しておきます。  「先生は、また、おんなじこと言ってる、と思わないで、毎回さっと反応してください。  自分の中に新しいシステムを作っているんだと思ってください。」とあらかじめ説明しておきます。

このように、小さなことを毎回レッスンで繰り返し言って、1年、2年と続けます。  そうすると、無意識に英語を発音しても、注意してきたところが乱れずに発音できるようになります。 

初めてレッスンにいらした生徒さんの中にはTHの音を出すだけで、何秒もかかる方もいらっしゃいます。  私は、何秒かかっても結構ですから、正確に発音してください。と最初は言います。  正確な発音を覚えることは最も重要だからです。  そして、何秒もかかっていた発音がすぐに出来るようになった後は、考えなくてもさっとその音がだせるようにこうやって、訓練していくわけです。  発音は考えてやっていたらしゃべれないからですね。

同じ事は、独習をしている皆さんも出来ます。  基本の発音を習得したあとも時間を作って月一回でいいですから、DVDを見て、基本の発音をひと通り、復習してください。  一ヶ月に2回復習にDVDが見られれば、レッスンを受けている私の生徒さんと同じ頻度でやっていることになります。  私のDVDの各基本の音の解説のキーワードはこういう理由で、短く簡潔に一つか二つに絞ってあります。  

また、文章を発音する時、Fの音の摩擦が、そばにいる人にも聞こえるようにいつもしゃべってください。  最初は注意するのが面倒くさく感じるかもしれませんが、続けていくうちにそうするのが当たり前になります。  そうすると、話す内容で頭がいっぱいでも、Fの摩擦がちゃんと聞こえるように話せます。

発音のヒントでやりました、W、N、S,L については、発音練習の文章の中に出てくるたびに自分で

W 唇を丸めて息を送ってWの音を自分の耳で聞く
(私は音読練習の時、Wで丸めた唇のなかを息が通っていくの感じます。  丸めたWの唇が開く時に音を出すのではないのです。  丸めているその時に音を出すのです。)
N 舌を歯茎につけてその状態で息を送って音を出す。
S 舌を歯茎につけて、先端の部分を少し開けて勢い良く息を送って発音する。その状態を止めないで、続けながら次の音につなげる
L 舌を歯茎につけている状態の時に音をだす

以上を気をつけながら発音してください。
毎回毎回、そうやって意識しながら練習し、1年2年と続けていくと、無意識に発音してもその部分はちゃんと発音出来るようになります。

22日に続きます。

* * *


====================================


高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

====================================

英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

* * *

何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  私はとても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

* * *

* * * 


クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。