川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

子音の日本語化、拡大版F、M、N。音声ファイルで聞いてください。

9月4日のブログで英語のLの発音と日本語化したLの発音を、子音の部分を拡大して聞いていただきました。

今日はF、M、N、の子音について拡大して聞いていただきます。

まず、Fの発音です。  Fight という単語を使い、最初に英語の子音の長さを拡大して発音し、次に日本語化したFを発音し、それを3回繰り返します。

実際にはこんなにFの子音が長く発音されることはありませんが、あくまでも違いを聞き取っていただくために大げさに発音しています。

英語のFは、Fの口の形をしてそこで口の形を保持して息を送り、Fの摩擦音を出しています。  一方、日本語化したFは、Fの口の形はしますが、そこで息を送って音を出すのではなく、息を送ると同時に上前歯と下唇は離れて、次の母音「アイ」に向けて動きます。

その結果、Fの摩擦音が非常に短く聞きにくくなります。  その違いを聞いてください。

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次はMの発音です。  Mother という単語を使い、最初に英語の子音の長さを拡大して発音し、次に日本語化したMを発音し、それを3回繰り返します。

英語のMは、上下の唇を閉じて、そこで口の形を保持して息を送りMの音を出します。  一方、日本語化したMは、上下の唇は閉じますが、そこで息を送って音を出すのではなく、息を送ると同時に唇は開いて、次の「ア」の母音に向かって動き始めます。  その結果、Mの音が非常に短く、聞きにくくなります。  その違いを聞いてください。

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最後はNの発音です。  No という単語を使い、最初に英語の子音の長さを拡大して発音し、次に日本語化したNを発音し、それを3回繰り返します。

英語のNは、舌を歯茎に当ててそこで口の動きを保持して、息を送りNの音を出しています。  一方、日本語化したNは、舌を歯茎に当てるのですが、そこで息を送って音を出すのではなく、息を送ると同時に、舌は歯茎を離れ、次の母音「オウ」に向けて、動き出します。  その結果、Nの音が非常に短くなり、聞きにくくなります。  その違いを聞いてください。

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摩擦が長く聞こえるFの発音は、著書「英語発音、日本人でもここまでできます。」付属DVDの42分17秒のところで、Fight, Finという言葉を使って、私が実際に発音しているところが見られます。  日本語化しないMについては、同じDVDの1時間13分47秒のところの、Meet の発音の仕方を見ていただくと、わかります。  Nについては、同じDVDの1時間13分56秒のところにあるNotの発音を聞いていただくとわかりやすいと思います。  お持ちの方は参考になさってください。
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いかかでしたでしょうか。  2つの比較を聞いて、「後者の発音の仕方(日本語化した子音)でも、わかるじゃない。」と思われる方がいたら、おそらくその方の発音は、ネイティブにはとてもわかりづらい発音だと思います。  会話の中のすべての子音が、このように短かったら(ネイティブが小さい頃からずっと聞いてきた子音と同じ長さがない)、非常に聞きにくいものです。  

私たちは、小さい時からずっと短い子音を聞いてきていますから、わかりますけれど、日本語を母国語としない人は、こんなに短い子音を聞きなれていませんので非常にとらえにくいのです。  ネイティブには初めて聞く子音の言い方だと思います。  

子音の日本語化は単語だけの練習や、演説のような一つ一つの音をはっきり言うしゃべり方では、あまりわかりません。

会話文や普通の文章で、しゃべり始めると日本人は、子音が日本語化してきます。  それが日本語の子音の言い方なので、言いやすいからです。  スピードを上げてしゃべっていると日本語化しやすくなります。

日本人同士で話していると、日本語の短い子音を聞くことにみんな慣れていますので、日本語化した子音でも通じないことはありません。  日本語化していることに気づく人もほとんどありません。

けれども、英語本来の長さを持った子音を聞きなれている人たち(例えばネイティブや、母国語はドイツ語だけれど、外国の人とは英語でコミュニケーションをしているような人々)には、とても聞きにくい発音になります。  彼らにとって、初めて聞く子音の言い方だからです。

日本人は「流暢に話していても何と言っているのかわからない」と言われてしまうのはこういう理由です。  日本人の英語を聞いて「何と言っているのかわからない」という感想を聞くことは多いです。  

ですから、私は、コロンビア大学の研修講座で発表して「何を言っているのかわからない」と言われた東大生の話(9月1日のブログを参照してください。)に、それは、本当に彼の英語が「何と言っているのかわからなかったのだろう」と思ったわけです。  こういう日本語化した子音ですべての文章を話していたら、長い子音を聞きなれている人には、なんといっているのかわからないでしょう。

また、「自分は日本語化などしていない。」と思っている方も、一度実際に話している文章を録音して聞いてみるといいと思います。  初めて発音を習った頃はゆっくり発音しますので、聞こえていた子音も、ナチュラルスピードで話すようになり、話す内容で頭がいっぱいで、まったく発音に注意を払わず、会話するようになると、日本語化します。  おそらく、すらすらしゃべれるようになってから自分の発音を聞いてみたことのない方が多いと思います。  

先日私は、ある方に、「What are you waiting for? と言った時、for の母音が非常に短いですから、長めに言ってください。」と言ったら、彼女から、「心外です。  私は川合先生の音声モデルの通りに発音しています。  短いだなんて、心外です。」と言われました。  (大変、親しい方だったので、率直におっしゃったのでしょう。)  彼女はあとから、「私はあの時、思いもしないことを言われた、と思いました。  私は音声モデルそっくりに発音しているつもりだったのです。」と言いました。

そこで実際に、彼女に自分の発音を録音してもらって、私の発音と比べて聞いてもらったら、「for が短かったです。」というお返事がきました。  彼女の for の発音は、突然そこで、チョンと切り落としたような短い発音でした。  そういう発音は聞きにくいです。  

これが、日本語の癖(くせ)です。  母国語の癖(くせ)は、本人が知らないうちに、表出します。  そして自分では気づかない。  日本人同士で話していると気づかない。  だから厄介です。  それに気づくには録音して自分の発音とお手本の発音を比べてください。

「どこを比べたらよいか」については、私が、本やブログ、ホームページで解説をしています。  日本語の癖が出るところは、私の生徒さんも皆さんも同じですから、それを参考になさってください。 川合メソッドは独学ですが、サポートのある独学です。

子音の日本語化は発音している本人がその違いを聞き分けられないと直せません。  先生の言うとおりに発音しているだけでは気づけないことなのです。  日本語とは違う子音の発音の仕方があることを自分で知らないと、同じに言えないのです。  是非、自分で、この違いを聞き取って、通じる発音で話せるようになってください。  

初級者より、むしろ、ナチュラルスピードで難しい内容を話している上級者(おそらく話す内容に注意が行き、発音は全然気にしていない)の方が、子音が日本語化している場合が多いです。

なお子音の日本語化について詳しいことは著書「帰国子女に見る世界に通用する英語力の作り方」39ページから46ページに詳しい解説が載っています。  参考になさってください。

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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)


高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。