今日は12月10日ですので、川合メソッド2第二部まで進まれた方は、今日が最終日となります。 2か月間の「英語の音質で話す練習」ご苦労様でした。
もし今後、長い文章も英語の音質でしゃべれるようにしていきたいという場合は、しばらくの間、Where are you? の練習と簡略腹式呼吸(水道管呼吸法)の練習は続けてください。
日本語を母国語とする人にとっては軟口蓋を上げているのはとても大変です。 その力をつけるためには、何らかの筋トレが必要ですので、Where are you? の練習を続けることをお勧めします。
この練習をすると、唇の強さも付きますので、日本語化しない子音で話す力もついてきます。
また、日本語より大きな空間で話すことになりますので、たくさん息も必要になります。 合わせて、水道管呼吸法も7秒x5回で続けてください。
腹式呼吸を馬鹿にする方がいますけれど、それは、日本語とは違う大きさの空間で話す言語があることを知らないだけです。 たくさん息も使えるようにしてください。
それでは今日の本題に入ります。
娘が5曲目に選んだ曲がマライア・キャリーさんの「恋人たちのクリスマス」でした。 10月から練習しています。
Youtube の映像はこちらです。
https://www.youtube.com/watch?v=yXQViqx6GMY
娘の選んでくる曲は、私だったら選ばないような曲が多いので、曲が決まると私も一生懸命練習して歌えるようにします。
この曲を初めて聞いた時、この曲を上手に歌う決め手は「リズム」だと思いました。
英語をしゃべる時の典型的なリズムは「強弱のリズム」です。 皆さんがよく御存じの竹林滋先生と斉藤弘子先生のお書きになった「英語音声学入門」という本の174ページに英語のリズムについて説明されていますので、引用させていただきます。
6.11
音声の流れの中で音の強弱や長短が規則的に繰り返される現象をリズムという。 (この後日本語のリズムについての解説があります。)
6.11.1
これに対して英語のリズムの基本はアクセント(強勢)で、強いアクセントがほぼ等しい時間的な間隔で繰り返される傾向がある。 つまり英語では強アクセントに等時性が存在する。 (その後に例文を使って説明されています)
言葉が難しいところがありますが、易しく言うと、
英語は強弱のリズムで話され、「強」と「強」の間隔は、ほぼ等しい。
ということです。
これは基本的なことですので、私も中学一年生の時に習いました。 こういう基本的なことを知らないで、自己流で英語を話してしまうと、聞いた時に変ですので、基本事項はきちんと習得してください。
「恋人たちのクリスマス」という曲は、英語の強弱のリズムと音楽の強弱のリズムが一致して、とても軽快な感じがします。 歌う人がこの「強弱のリズム」を意識して歌うことによって、曲は生き生きと流れます。
娘とこの曲を毎週レッスンしていましたが、なかなかうまく歌えませんでした。 ある日のレッスンで、娘が、この曲を歌って録音した時、ちっとも、音楽が流れていませんでした。 そこで私はこの曲が始まって50秒のところからの歌を娘に聞かせて「マライア・キャリーさんがこの曲を強弱のリズムに乗せて歌っているのがわかる?」と聞いたら、娘は、「わかんない。 マライアさんは全部強く歌っている」と言いました。 これには、正直なところ「困ったな」と思いました。
マライアさんにとっては、英語は母国語ですからそんなことは、当たり前で、特に意識して歌ってはいらっしゃらないでしょうが、私たちがこの曲を歌う時は、強弱のリズムは重要なポイントになります。 リズムに乗れないで、この曲を歌っても、この曲の良さはまったく表現できないのです。 仕方ないので、とりあえず、今歌った娘の録音を2人で、聞くことにしました。
そうしたら、2分45秒から始まるフレーズを娘が強弱強弱のリズムで歌っていました。 ここは1小節4拍ありますが、最初の八分音符に乗っている歌詞を強く、裏拍となる次の八分音符に乗っている歌詞を弱く歌っていました。
私はこれを聞いた時、すぐにICレコーダーを止めました。 そして娘に言いました。
「由紀子はここをこうやって、強弱のリズムで歌っているでしょう。 このリズムを最初から(50秒から始まるところから)使ってほしいの。
50秒のところからは、1拍目を強く、2拍目を弱く、そういう感じで歌ってほしいの」
私はそう言いました。
娘は「わかった」というので、もう一回歌ってもらって録音することにしました。 今回はとても軽快な感じがしました。 私は横から「そう、そうやって歌ってほしいの。 そのリズムで最後まで歌って」と言いました。
歌い終わったとき娘に「どうだった?」と聞くと、「楽に歌えた。 流れるように歌えた」と言いました。
この曲は旋律を追って、膨らませて歌う曲とは違います。 同じマライアさんの曲でも、最初に勉強した「Hero」とは違う歌い方をします。
歌にはそれぞれその歌の良さが最もよく表現できる歌い方があります。 それがこの曲の場合はリズムです。
楽譜を見ると4拍子ですが、日本人は日常英語を話しているわけではありませんので、リズムがよく取れるように、「強弱、強弱」「イチ、ニー、イチ、ニー」の2拍子のつもりで歌った方が強弱のリズムがはっきりします。 そこで、私は「強弱、強弱、2拍子のつもりで歌ってごらん」と娘に言いました。 そうしたら、娘の歌い方ももっと軽快な感じが出てきました。
1拍目を遅れず、きっちり入り、しかも一拍目は「強く入ること」がポイントです。 けれども娘は、子音だと強く入れるのですが、母音から始まるフレーズだと、フワっと歌ってしまい、なかなか強く入れませんでした。 そうすると歯切れよく聞こえません。
おなかで支えて強い母音で1拍目を入らないとリズムが歯切れよく聞こえないのですが、娘はそれがなかなかできませんでした。
皆さんは、Where are you? の練習や水道管呼吸法をずっとやって来ていますので、子音を強く言う事は、もうできると思いますが、母音の時も強く入るように歌ってみてください。
2拍目に聞こえるドラムの音と拮抗するように1拍目を強く入ると軽快なリズムにのれます。
娘が母音を強くはいれるよう何回も練習して、上手になってきた時、最後に私がしたアドバイスは、次の通りでした。
「楽しそうに歌ってね。 歌う人が必死だと、聞いている人が疲れちゃうからね」 そう言ったら、娘は苦笑していました。
皆さんもどうぞ楽しんで歌ってください。
娘は帰国子女だったので特に問題はなかったのですけれど、この曲には /R/ とか /W/ とか、日本人にやりにくい発音が多いです。 まだ発音に慣れていない人は、歌詞を明確に発音しようとすると、時に、「もたついている」という感じを観客に与えてしまうことがあります。 そういう時にはどうするかというと、歌うときに、「伴奏よりも自分の方が少し先んずるような気持ち」でリズムを取って歌ってみます。 伴奏に引っ張られているのではなく、気持ちの上で、自分が伴奏を引っ張っているようなつもりで、伴奏より自分が少し先を行くような気持ち(あくまで気持ちです)で歌うと、このもたついている感じが軽快な歌に変わってきます。 歌うときのほんのちょっとした気持ちの切り替えで、歌全体がとても生き生きしてきますので、「もたついているな」と感じた方はやってみてください。 これだけのことで全然歌の感じが違ってきます。
最後に皆さんが歌を録音するときの参考に、私がどうやって歌を録音しているのか、そのやり方をお話しします。
私の家にはホームセンターで買った脚にキャスターのついた(移動できる)ラックがあります。 高さが1メートル23センチで棚が4段ついています。 棚は幅55センチX35センチです。
その一番上の棚の35センチの側にパソコン用のスピーカーを2つ置き、CDやアイポッドにつなぎます。 その間にICレコーダーを置きます。 ICレコーダーが口の位置より低かったら、空箱か何かを置いて高さを調整します。
そこで、ICレコーダーの前に立って、スピーカーから曲を流し、一緒に歌ってICレコーダーに録音します。
録音が終わったら、2番目のラックにもう一組、パソコンのスピーカーを置いて、ICレコーダーにつなぎます。 ICレコーダーを再生して、2段目のスピーカーから自分の歌を聞きます。 3段目、4段目には、それぞれCDプレイヤーが置いてあります。
私の場合は、今まではほとんど毎日歌の練習をしましたので、このセットはいつもそのままです。 オペラのアリアの練習をするときにも、毎回録音して、自分の歌をチェックしていました。
2008年から2009年にかけて英語の歌を萩原先生に教えていただいていた時には、先生に見ていただく前に、少ない時で100回くらい、多い時で300回くらい、録音しては聞いて直すという作業を繰り返しました。 I could have danced all night という曲だけは歌いやすかったので、100回くらいで完成させることが出来ましたが、他の曲はだいたい200回から300回くらい録音して直してから、先生に見ていただきました。
著書「英語発音、日本人でもここまでできます」に付属しているDVDで歌っているMy Favorite Things も、そうやって練習したあと、萩原先生に見ていただきました。 あの曲は、その後、念のため、娘と息子に、別々に聞いてもらい、「聞いて、発音に何か違和感のあるところがあった?」と聞きましたら、二人とも「なかった」と言ったので、安心しました。
なかなか、その曲の歌い方がつかめないときには、何回も何回もお手本にした歌を聞きました。 今まで一番よく聞いたのはバーバラ・ストライサンドのThe Main Event /Fight という曲でした。 リズムに乗るのが難しい曲でした。 完成させた後、アイポッドの再生回数を見たら1372回でした。
初心者は、やはり最初の内は、「聞けば聞くほど」、「歌えば歌うほど」歌は上手になります。 皆さんはお忙しいので、じっと座って聞いている時間はないでしょうから、BGMのように流しておくだけでも、感覚的には歌が自分になじんできます。 萩原先生がおっしゃっていたように「その曲と一緒にいる時間」が、上手にしてくれますね。
どうぞ「恋人たちのクリスマス」も歌ってみてください。
*今日初めてこのブログを読んでくださった方へ*
「短い日本語の子音」で代用した子音を使って、英語をしゃべると非常に通じにくい英語になります。 長さのある「英語本来の子音」で話せばよく通じます。
日本人はこの「子音の長さ」を70年間、聞き取ることができませんでした。
日本語の子音だけを聞き取るようにセットされた耳では、この子音の長さは、「必要ない音」として、はじかれて、日本人の耳に取り込まれることがなかったからです。
たとえ、No や Not を「ンノウ」「ンナット」と聞きとっても「そんなに大げさにいう事はない」「小さな音の違いは重要ではない」とはじかれてきたのです。 けれどもその時私たちが「基準」にしたのは、日本語の子音の言い方でした。 日本語に比べて「大げさだから」「やりすぎだから」私たちは、この子音の長さを切り捨ててきました。
けれども、日本語の子音の言い方は、「子音と母音」が常にセットになって一つの音を構成する日本語独特の言い方であって、英語の子音の言い方とは違います。
この英語の子音の長さを聞き取れるようになるための練習プログラムは2016年6月5日から10月1日までのブログをご覧ください。 各ブログで詳しく説明しています。 その練習をまとめたものは川合典子オフィシャルサイト「通じない日本人の発音」のページでご覧になれます。
また、子音の長さの具体例は「S」についてはこちらのブログを、「L」についてはこちらのブログをご覧ください。 Wについては、こちらのブログを参照してください。
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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。
高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)
高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。 しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています) これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。 学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。
これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)
皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。 (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。
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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。 日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)
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英語教育について
文部科学省は「高校の英語の授業を英語で行う方針」をやめてください。
英語で授業をやっても、高校生の英語力は上がりません。(理由は10月16日のブログと11月6日のブログの最後をごらんください)
「まったく効果がない英語教育をしている」ということは
「無駄な英語教育をしている」ということです。
「無駄な英語教育をしている」というのは、税金も無駄に使っているということです。
文部科学省は税金だから(ひとのお金だから)何年でも無駄に使っていいわけではありません。
「高校の英語の授業を英語で行っても、高校生の英語力は上がらない」ということは、現場の先生方はみんなご存知だったのです。(だからあんなに反対されたのです)
文部科学省だけがいまだに詐欺商法に騙されているのです。
あの童話「裸の王様」に出てくる子供が叫んだように、「王様は裸だ」(英語で考える指導法なんて嘘だ)と先生方はみんな最初からわかっていらっしゃったのです。 だからあんなに反対されたのです。
文部科学省は詐欺商法に騙された「裸の王様」です。
それが嘘だとわかった今でもパレードを中止できない「裸の王様」です。
来年4月の新学期からも「高校の英語の授業を英語で行う方針」を続けるなら、もう5年も私たちの税金は無駄に捨てられているようなものですし、もう5年も、文部科学省は詐欺商法に騙され続けているということです。
日本中の高校の先生方が「英語で授業など効果がない」と分かっていらっしゃるのに、文部科学省だけが、それをやめないのです。
文部科学省は、騙されていると知りながらパレードを中止できない「裸の王様」です。
私は毎回きついことを書いておりますが、私は「高校の英語の授業を英語で行う方針」をやめてくだされば、それでいいのです。 そうしたら、もう、こんなことをブログに書く必要もなくなります。 お願いですから、「高校の英語の授業を英語で行う方針」をやめてください。 英語をマスターするためには高校時代にぜひともやらなければならないことがあるのです。(こちらのブログを参照してください) それは英語で授業などやっていたら習得できないのです。
「英語で考える指導法」など、提唱者もやっていない方法です。(「英語で考える本」松本亨 英友社 67ページ。 詳しくは、こちらのブログをご覧ください)
松本亨氏の書いた「英語で考える本 Think In English」の67ページには、松本亨氏は「英吾学習開始から7年目までは日本語訳を使って、英語を理解していた」と書いています。 しかも、英語を英語のまま理解する練習を始めた時に使ったのは、最初に日本語で十分理解したReader の第一巻に戻って、英語のまま理解する練習を始めたと書いています。
つまり、松本亨氏の行ったやり方は、私の子供たちがアメリカで行ったやり方と同じです。 第一段階「まず、日本語訳で英語を理解する」、そのあと、「日本語訳を除いて英語のまま理解する」。 これは私の子供たちが行ったやり方と全く同じです。 英語で考える指導法の提唱者も私の子供たちと同じ「和訳で理解 → 英語のまま理解」という順番で英語を習得したのです。
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高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。
現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。
文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。 導入されれば教育現場は大変迷惑します。 中止する必要があります。 なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。
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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。
「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。 他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。
私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。
「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。 他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。 ベストセラーの著者という名声ですか。 それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。 この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか? もう英語教育とは関係ないことですか。
私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。 日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。 ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。 私の仕事の妨害をしないでください。
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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。