川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

日本語の音だけしか知らないと、聞き取れない音 (再掲載2017)

私は今、家族の高齢化の問題で大変で、ブログを書く時間があまりありませんので、昨年おこなったネット上セミナーのブログを再掲載させていただいています。

今日これから皆さんに読んでいただくブログには、日本人の発音を通じやすくする重要なポイントが書いてあります。

昨年読んだ方も、どうぞ、「これが日本人の英語を劇的に通じやすくするポイントだ」と思って、もう一度お読みになってください。

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6月4日より練習を始めましたので、今日は練習29日目となりますね。  1か月たった7月4日には皆さんは、戦後、英語教育が始まって70年近く、「日本人が聞くことのできなかった音」が聞けるようになります。

この音は、「日本語の子音にはない音」で、しかも「小さな小さな音」です。  この2つの理由から、今まで、日本人には聞くことができませんでした。  今回聞くことが出来るようになっても、人によっては、「こんな小さな音、言ったって、言わなくたって同じではないか」という方も出てくるかもしれません。  なぜなら、日本人には、この小さな音を発音しなくてもよく通じるからです。

けれども英語でコミュニケーションをしてきた人々には、この音は言わなければ通じません。 (長さがない子音で話した場合、通じたとしても相手にとっては非常に聞きにくい発音になります)  

プラダを着た悪魔」という映画の23分のところで、ランスルーを見ていたアンディが「私はまだ、“こういうもの”を学んでいるところなので」というと、ミランダ(メリル・ストリープ)が“こういうもの”と言う言葉に驚いて、唖然として、“This... stuff....?”と言う場面があります。

その時のStuff の 「S」 の発音が非常に長く発音されています。

唖然としたミランダの言い方を真似してStuffと言ってみます。
音声はこちらです。


「S」が非常に長いですね。  私は著書「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」の中で、この例を挙げて、「ですからSは、長さを持って発音してください」と書きました。  

ところで、この「Sの長さ」は何かに、似ていませんか?  皆さんが今やっている「Lの練習(2)」の「Lの長さ」に似ていませんか?

そうなのです。  英語の子音で長さがあるのは「S」だけではなかったのです。  日本語の子音の言い方が世界共通の「言語の子音の言い方」だと思っていると、つまり、「外国語でも、日本語の子音と同じ子音の言い方をする」と思っていると、この「日本語にはない、小さな小さな音」は聞き取れないのです。  すると、著書「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」付属CDトラック(6)、(13)、(19)に出てくる生徒さんと同じ発音になってしまうのです。  

CDトラック(6)、(13)、(19)に出てくる生徒さんの発音は、日本語の子音の言い方です。  日本人は戦後70年、日本語の子音の言い方で、英語の子音を発音してきたのです。  だから日本人の英語はわかりにくいと言われてきたのです。  「日本人の英語がわかりにくい」と言われるには、それなりの理由があるのです。

この「日本語にはない小さな音」を学習者自身が聞き取れないと、どんなに発音指導を受けても、英語本来の子音で話すことは出来ないのです。  結局、学習者は日本語の子音の言い方しか知らないからです。

皆さんは1か月「川合メソッド2」の練習をして、この「日本語にはない、小さな小さな音」(子音の長さ)が、聞き取れるようになります。

私は、最初の著書「英語発音、日本人でもここまでできます。」を出版した時から、子音の長さについて述べてきましたが、どんなに私が説明しても、学習する方々自身が「この子音の長さ」をお聞きになれないと、直していただけない、と思い、今回は皆さんにそれを聞き取っていただくための練習を公開しました。 

皆さん自身の耳で、是非、この「日本語にはない音」「小さな小さな音ですが非常に重要な音」を聞き取っていただきたいと思います。

詳しくは、7月5日にご説明いたします。

====子音を長く言う「川合メソッド2」==========
6月25日から7月8日までの練習内容
練習(1)普通のL 5回
練習(2)長いL  5回
簡略腹式呼吸(水道管呼吸法)  3秒 × 5回
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なお、子音を長く言う「川合メソッド2」の練習方法を営利目的でお使いになることはご遠慮ください。  (皆様にそのようなお願いをする理由はこちらでご覧いただけます。)  

(例) 出版、発音セミナー、発音レッスン、発音トレーニング 等々。


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私の2冊目の本「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」(緑色の本)を購入された方で、CDトラック6,13,18,19にある生徒さんと私の子音の長さの比較がよくわからない方は下のブログを参考にしてください。

2016年7月3日のブログ  子音を長く言う「川合メソッド2」「L」の練習 4週間後 (長いSの例)
2016年9月1日のブログ  RとFの練習 1か月後 マライア・キャリー (長いLの例)
2015年2月1日のブログ  「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」付属CDトラック6 例文 Where's my bag? 川合典子には生徒のWの発音はどう聞こえたか。

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英語教育について

文部科学省の英語教育の方針は、効果がありません。

1)現在、高校生が行っている「英語で授業」は効果がありません。  (理由はこちら
2)「CAN-DOリスト形式」は効果がありません。 (理由はこちら
3)「4技能」は効果がありません。  (理由はこちら
4)現在、小学校の英語教育で子供たちが話しているのは、英語の発音ではありません。 (理由はこちら
5)大学教育を英語で行うと日本の学問は壊滅的な打撃を受けます。 (理由はこちら
以上の理由により、文部科学省の方針は効果がありません。

「発音」、「語順」、「英語で考える」、それぞれを習得する方法は2015年10月19日のブログ「川合式英語学習法」をご覧ください。

これは全部私自身がやってきたことです。  こうすれば、生徒たちは必ず通じる英語で話すようになります。
英語で考える指導法を提唱する人たちのように、「自分は日本語訳を使ったけれど、生徒たちは使うな」というような、指導方法ではありません。  私は全部自分でやっています。


「英語で考える」を提唱した松本亨氏の主張について

松本亨氏の「英語で考えるためには日本語訳を使ってはいけない」という主張は2006年、私の子供たちが全文和訳でバイリンガルになった事実によって否定されました。 

「英語で考える指導法」は詐欺である可能性が高いです。

松本亨さんの書いた「英語で考える本」「英語で考えるには そのヒケツと練習」という本に書いてある練習をしても英語で考えるようにはなりません。(2月4日のブログ「英語の思考活動」、3月1日のブログ「先生の宿題のプリント「英語で考える」ってどういうこと?」を参照してください)

英語で考える指導法を掲げる英語学校の指導者、石渡誠さんは、松本亨さんの「英語で考える本」「英語で考えるには −そのヒケツと練習−」という本で勉強すれば英語で考えるようになると2017年1月19日のブログで言っていますが、この2つの本で勉強しても、英語で考えるようにはなりません。  「この方法を26年教えてきた」と書いていますが、26年間も効果のない方法を教えてきたというのは驚きですね。  

私は、この件について、松本亨さん(著作を含めて)以外の固有名詞を入れることをずっと避けてきました。  けれども、石渡誠さんの2017年7月30日ブログの冒頭の

日本の英語教育界もようやく変革の時が!英語を英語で教えるということが、中高でも広まってきています。良いことですが、

という部分を読んで、明記することにしました。  日本中の高校生を犠牲にしておいて、まだこういうことを言っていることに怒りを覚えました。  文部科学省でさえ、もう、中学校の英語の授業を英語で行うとは、言わなくなったのに、と思いました。  

石渡誠さんは、アラビア語アラビア語で教えられたら、アラビア語が堪能になるのでしょうか?  それを自分で証明してから、「英語を英語で教えること」を提唱してください。

石渡誠さんは、26年間も授業料を取って、「効果のない方法」を「効果がある」と偽って教えてきて、謝罪も損害賠償もしないのですか?  そうやって、「何を言っても何の責任も取らなくていい」と思っているから、いまだに「英語を英語で教えるのが良い」などとおっしゃるのでしょう。    

でしたら、ご自身がアラビア語アラビア語で学んで、アラビア語が堪能になるかどうか示してください。  それが出来ないのであれば、「英語を英語で理解する指導法」が間違っていたと認めてください。  そういうけじめをつけないからいつまでも「英語を英語で理解する」などという指導法を主張し続けるのでしょう。

日本中の高校生が迷惑していますので、自分もできない指導法を提唱するのはやめてください。

自分の商売のために子供たちを犠牲にするのは、もうやめてください。

Je suis Charlie. と母国語で言うフランス人が I am Charlie.という言語を学ぶとき、母国語の意味を参考にしていないはずはないでしょう。  日本人は誤った指導法を50年も信じて、大きく後れを取りました。





私は、英語で考える指導法の提唱者が、「Freedomを日本語に訳すとニュアンスが分からなくなるから英語のまま言わせる」とブログに書いているのを読みました。  でもそれでは何も教えていないのと同じです。

生徒から、アメリカ人にとって自由というのはそんなに大事なものなのですか?と質問されたら、アメリカ史がご専門の先生なら、「建国の歴史を勉強してみるとその理由が分かってきますよ」とお答えになるでしょうし、時事英語がご専門の先生なら、ニュースの中から、アメリカが個人の自由を制限する国に対して、非常に厳しい外交政策をとり、しかも大多数の国民がそれを支持しているというニュースを選んで、生徒と一緒に勉強していくでしょう。

Freedomを日本語に訳さずFreedom. Freedom と生徒に言わせる、などというのは何も教えていないのと同じことです。

それは、次のような例を想像してみるとよくにわかります。

もし、アメリカで、日本語を学んでいる生徒が「日本の武士道とはなんですか?」と教師に質問した時、「日本人にとって武士道が、どういうものなのか知りたかったら、武士道を英語に訳さず、日本語のままブシドウ、ブシドウといいなさい」 などと指導する教師は一人もいないでしょう。   

仮に先生が「これが、日本語を日本語で理解する指導法だ」「日本語で考える指導法だ」などと言っても、生徒はばかばかしくてする気にもならないでしょう。  保護者からは「まじめに教えろ」と言われるでしょう。 

これが英語で考える指導法の正体です。

教える方は何も教えていない。
学ぶ方は何も学んでいない。
これが英語で考える指導法の正体です。

だから私はこの方法は詐欺だと言ったのです。(こちらのブログ

以前、この「英語のままFreedomと言わせる」と言っていた学校のブログで、車を売って受講料を払って学んでいるという生徒の例が紹介されていました。  それほどの高額の授業料をとって、「だますつもりはなかった」「知らなかった」では済まないです。  
詐欺は犯罪です。

詐欺は、刑法で刑罰が定められている犯罪です。

この詐欺商法を、中学や高校に持ち込んだのが文部科学省の「中学、高校の英語の授業を英語で行う方針」です。
だから、私は、「学校で詐欺を行わないでください」と申し上げたのです。
税金を詐欺に使わないでください、と申し上げたのです。
高校英語教育はいまだに詐欺ですね。
学校で詐欺教育をするために、車一台売るどころではない、莫大な税金が使われています。

早くやめてください。
高校時代は、高校時代にやらなければならない訓練があるのです。
複雑な英語を読み始めるときにどうしてもやらなければならない訓練があるのです。
この時を逸すると、取り返しがつかないのです。  高校生がかわいそうですから、「学校で詐欺」はやめてください。

発音練習について

従来の発音練習は、子音の発音の仕方を説明して、「はい、ネイティブの後について言ってみましょう。」というものでした。  これでは、音声モデルのネイティブは英語の子音の長さでしゃべり、それを見ながら発音する日本人は日本語の子音の長さでしゃべる、という構図が繰り返されるだけです。  こういう練習では、両者の発音の違いはいつまでたっても埋まりません。

シャドーイングで発音を練習する。  モデルは英語の子音でしゃべっていますが、シャドーイングしている日本人は短い日本語の子音のまま英語をしゃべっている。  何時間練習しても、両者の発音の違いは埋まりません。

これが70年間ずっと、日本人がやってきた発音練習です。

自分の発音を録音するのは多少面倒かもしれませんが、70年、違う音で発音練習するよりいいでしょう。

私も40年前、お手本と自分の発音を聞き比べて直す練習をした時は、この子音の長さの違いを聞き取ることができませんでした。  40年やってきて聞き取れるようになりました。  

ですから、発音練習を始めたばかりの人が、文の発音を比べてもこの子音の違いに気づかないのは当然かもしれません。  日本語の音以外、日本人の耳は、取り込みませんから。  長い子音の前半の部分は言語の音だとは思っていないので、取り込みません。

でも、その時、「この2つの音の長さの違いを聞いて下さい」と、音が違っている箇所をアドバイスするガイドがあれば、そこを集中して聞けば、聞き取れるようになります。  「その箇所はどこか」というのは、「英語発音、日本人でもここまでできます。」(赤い本)と「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」(緑の本)に書いてあります。  この2冊に、日本語以外の言語の音も耳が聞き取れるようになるガイドが書いてあります。


子音を長く発音するのはやりにくいですけれど、日常できるコツを一つ申し上げますと、まず、文の最初の子音を大げさに長く発音してみてください。(日本人は大げさくらいでちょうどいいです。)  
例えば、Let's go. だったら、最初の L をとってもしつこく長く発音してみてください。  文の最初なら、それほどリズムに影響を与えません。  そうすると、長い子音で発音するコツが体でつかめてきます。  

もう一つは、地下鉄のアナウンスみたいに
Marunouchi Line
Hanzomon Line
Ginza Line
(言いにくいので定冠詞 the は省略しました。)

とLine の L のところで舌が歯茎に絡まるようにしつこく発音してみます。
2語ですから、リズムも狂いませんね。
なんとなく長い L の言い方のタイミングがつかめてきます。
やってみてください。

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何度もお願いしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 


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